序 章

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            妹の啜り泣きが響く。 祭壇の前に力無く座り込んだ母は、俯いて声も上げずただ涙を流し続けている。 かつて父であったものの一部が入った白い箱にはそれを抱き抱えた母の涙が滲んでそこだけ色を変えた。 その情景を呆然と見ていた。 まるで他人事のように。 夢か、現実かも判らぬままに── .
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