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手にはお守りがある。
お守りは破けて中身が見えてしまっていた。
中には紙が2枚入っていた。
一枚はおばあちゃんの名前が書かれた人型の紙だった。
もう一枚には文章が書かれていた。
その文章を見て、私は溢れ出る涙が止まらなかった。
「この子に降りかかる災難が全て私に降りかかりますように。私に起こる幸せが全てこの子に起こりますように。」
奇跡なんかじゃなかった。
おばあちゃんが私の身代わりになってくれたのだ。
私は涙が枯れるまで泣いた。
「おばあちゃん!」
リビングにおばあちゃんがいた。
私は思わずおばあちゃんに抱きついた。
おばあちゃんは振り返ると、ニコっと笑って、
「ほら、泣いてちゃ駄目よ。笑わなきゃ、笑わなきゃ幸せが逃げちゃうよ。」
それはいつも私が泣いた時におばあちゃんが言っていた言葉だった。
「おばあちゃん・・・。」
うまく、笑えたかな。
わかんないや。
でもおばあちゃんは満足そうに笑っている。
「ありがとう、おばあちゃん。」
ゆっくりと目の前が白くなっていく。
そんな中おばあちゃんは何かを私の手に握らせた。
目が覚めるとベットの上にいた。
夢?
ふと手を見ると、そこにはおばあちゃんのお気に入りだった髪結いがあった。
それをぎゅっと握り締めて心に誓う。
約束するね、きっと幸せになるって・・・。
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