その男、雪白 幸喜

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礼を言い。ソレに姉は嬉しそうに手をブンブンと振って反応した。 その後台所から『抱き締めても良いよ?』とか。『可愛い奴…お姉ちゃんもう…(ry』などと、少し危険な発言が聞こえてきたが。すでにその声が聞こえる場所に幸喜の姿は見当たらなかった。 洗面所でやはり淡々と歯を磨いていたからである。 歯を磨き。顔を洗い。寝癖を直す。 その間も、やはり表情は瞼半分であり。 食卓で待っていた姉に『幸喜カッコイイよ~♪』と叫ばれても表情一つ変える事なく『そうですか』と言って黙々と朝食を食べていた。 テレビの時刻は七時を表示していた。 朝食を食べ終え。姉に見送られながら。幸喜は二人暮らしのマンションを出た。 姉は学生で。今日は午後かららしい。 両親とは離れて暮らしている。 幸喜が受かった高校が、一人暮らしをする姉のマンションから近かったので。幸喜がと言うより。十美が自分のマンションから通う様に誘ったのだ。 その時の幸喜も今と何一つ変わらず。ただ言われるがままに従っていた。 そんな無気力で周りに無関心なこの男。 こんな性格だから、友達なんかいないのかと聞かれれば、答えはNOだ。 以外にも数人だが、友達と言える人間はいるのだ。
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