その男、雪白 幸喜

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目を通した記事には、今放送されているライムライトのダイジェストが書かれていた。 前半クールでヒロインだった先輩が突然舞台からいなくなり。物語は新ヒロインの後輩編と変わっていた。 そんな記事に目を通す幸喜も、以外にもこのドラマを見ていた。 まあ、夕飯時に姉が見ているのを一緒に見てるだけなのだが。なんと驚く事に原作の小説までも読んでいたのだ。 最初は姉に勧められて。決して自分から読んだわけではなかったのだが。今では数少ない愛読書になっていた。 そして、その愛読書は今もカバンの中にあり。空いた時間にちょくちょく読むハマり様であった。 正直、自分でも不思議なくらいのハマり様で。文庫本だけでなく、原本もしっかり所持しているのだ。 まあ、原本は今は手元にはなく。今も自分の隣で引っ付きながら。同じ雑誌を見ている香に貸している。 「この新ヒロインの後輩ちゃん。あの味噌汁で川島くんが煮込まれた時の女の子なんだよね?」 「ええ…」 「あの話は笑ったな~♪助けに来た先輩。川島くん無視して犯人捕まえに行っちゃうんだもん。有り得ないよね?」 「ええ…」 そんなドラマの話をしていると。時計の針は電車が来る三分前を指していた。
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