その男、雪白 幸喜

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駅のコンビニを後にし。幸喜は香と共に七番ホームで数分電車が来るのを待った。 そして、数分後。ダイヤ通りに来た各駅停車の電車に乗ると香は空いてた席に座り。直ぐに幸喜に隣に座る様に促(うなが)すが、幸喜は荷物だけ置いて閉じられたドアに寄りかかった。 「何でいつも座らないの?」 香は何となく聞いてみた。 それというのも。香と幸喜が同じ高校を受かってからこの一年と一月。ただの一度となく。幸喜は香の隣云々関係なく。いくら電車の席がガラガラでも、席に座った事がないのだ。 そして、この質問も実は何度となく繰り返し聞いてきたのである。 その度に幸喜は同じ答えを。これまた繰り返し答えてきた。 「別に…ただ何となくですけど」 この答えを聞く度に香は『本当に~?』と疑いの眼差しを一度見せ。しかし、それ以上は追求しないのである。 こんな彼女だからこそ。十年もの間、幸喜と友達として付き合えてこれたのだろう。 その些細な会話を済ませ。動き始めた電車が二駅ぐらい過ぎた頃だろうか。突然、隣車両から男の怒鳴り声が聞こえてきた。 隣車両に近い所にいた香は、『何の騒ぎ?』と席を立ち。隣車両を覗き込んでいた。
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