316人が本棚に入れています
本棚に追加
歩が読み出した小説は、先ほど説明したドラマの原作である。
まあ、本当の原作は携帯サイトの携帯小説だが。歩はあまりそういうサイトが好きじゃない。
そもそも、この小説を知ったのも友達から勧められて知ったのだ。
今読んでいるのはその原作を書籍した文庫本。
原本は随分前に発売され。もちろん、それも持っているが車内で読むには大きすぎる。そこで、最近ドラマ化されたと同時に発売されたこの文庫本を購入し。読んでいるというわけだ。
読みはじめて電車が二駅過ぎたぐらいか。突然、車内に罵声が響き渡った。
何事かと視線を文字から外に向けると。そこで騒ぎ立てていたのは先ほど投げ飛ばした古い不良が、席を譲らない年寄りに馬鹿丸出しで絡んでいたのだ。
「聞こえねぇーのかよババァっ!?俺ぁっそこを退けって言ってんだよ?」
「すみません。私腰が悪くてあまり立ってられないんです…」
「そんなん俺には関係ねぇーんだよっ!!いいから退けってんだよ!!」
「あっ!?」
気付いた時にはもう遅い。
年寄りはその不良に無理矢理押し退けられ。車内の床に倒れ込んだ。
そんな光景を年寄りの変わりに席に座り込んだ不良は、ニヤケ面で見ていた。
最初のコメントを投稿しよう!