316人が本棚に入れています
本棚に追加
「…はぁ」
ため息を吐く男がいた。
外見はそれなりに良く。身長は175~176㎝ぐらいだろう。
揺れる車内。
ガタゴトと鳴る線路の騒音。
隣の車両からはやたらと怒鳴り声のような音が聞こえてくる。
ため息をつく男以外の乗車客は、野次馬心で隣の車両を我は我はと覗いている。
しかし、そのため息男はそんな騒ぎ何か聞こえて無いかと。疑いたくなるくらいに無関心な顔をしていた。
一度だけ、隣の車両に目をやると。一瞬、人が浮いた様に見えた。
これが普通の人ならば『何事かな?』と、好奇心を膨らませるのだが。この男にそれはまったく無い。
まるで風景でも眺めてるかの様にソレを見ると。またため息を一つ。
そして、視線を外の写る窓に戻し。下りる駅が近づいてる事を確認すると、床においといたカバンを肩にかけ。
電車から下りる支度をもそもそと始めた。
その男が着ている制服は、歩の通う高校の男子が着ている物と同じであった。
男が電車を下りる支度を済ませ、その数分後。男を乗せた電車は目的地に止まり。固く閉じていた扉は、プシュッ!という音と同時に開いたのである。
そして、男が気だるそうに電車から下りると。隣で騒いでいた男と女も下りてきた。
最初のコメントを投稿しよう!