316人が本棚に入れています
本棚に追加
「ちょっ!?わっわわっ!ちょっ!?」
電車が次の駅に着くと同時に、床に倒れていた不良は歩に首根っこを捕まれズルズルとホームに引っ張られた。
下りる途中。先ほど助けた年寄りが下りる彼女に『ありがとうね』と礼を言っていたが、どうやら今の歩には聞こえてないらしく。変わりにと悠が頭を一礼していた。
「さてと、どうしてくれようかしらね?」
引きずっていた不良を乱雑に放ると。歩は未だ地べたに座る不良を睨みつけ、この馬鹿をどうするか考えた。
一、土下座させる。
二、頭を丸坊主にする。
三、徹底的に痛めつける。
一と二はすでにと言うか、元(はじめ)から論外である選択肢。車内で下りろと言った瞬間から答えはすでに出ていた。
答え。
「三、徹底的に痛めつける」
「はっ?」
不良は気付いてない。彼女の見かけに隠された凶暴性に。
普段は至って普通の女の子だが、一度スイッチが入ってしまうと彼女は自分の行動に歯止めが効かなくなるのだ。
今の彼女は歯止めの効かない闘牛、いや鬼と言った方が適切だろう。
ソレに悠が気付いた時にはすでに遅く。
彼女は力強く地面を蹴ると、その身体は空高く舞い上がり。そのまま勢いよく不良に飛びかかった。
最初のコメントを投稿しよう!