113人が本棚に入れています
本棚に追加
襲撃から三時間。あの女も家に帰ったろうと思い、俺はマンション下のコンビニで買い物をする事にした。歯磨き粉と週刊誌を手に取っている間にも、あの電波女の顔が脳裏に過ぎる。 第一印象はかなりの美少女。少し大人びていて、どちらかといえば『美女』と表現してもいいかもしれない。だが、そんな女にどうして既に彼氏がいないのか―その理由を俺は身をもって知った。 あんな電波娘はいくら可愛くても御免こうむる。よほど彼女が欲しい人間ならば別だろうが―今の俺にはまったく意味が無い ・・・・・・・・・・・ 。俺には既に彼女がいるのだから。 しかし明日の入学式を一体どうするべきか―自分の部屋のある階に上り、狭い通路を歩きながらぼんやりと考える。 あんな女と毎日顔をあわせるぐらいなら、いっそのこと行かない事にしてしまおうか。ああそうさ、俺には彼女がいるんだ。あんな女とは違って、物静かでとても美しい彼女が。彼女と一緒なら、別に高校いかなくてもいいや。姉さんの会社にバイトでもなんでもいいから雇ってもらって、働いてみるかなあ。 ああ、そうだ思い出した。そもそもどうしてあの女を助けたのかを思い出した。喋ってみると全然違っていたけど、よく似てたんだ。俺の彼女に。だから助けたんだ。今思うと馬鹿な事をした。顔が似てるからという理由で助けたら、中身は大違いなんだものな。 そんな事を考えながら自分の部屋のドアに鍵を挿す。 あれ?おかしいな。 ―開いてる。
最初のコメントを投稿しよう!