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今、かの王子が人捜しをしているらしい。
なんでも、舞踏会で出会ったすばらしいお姫様の落とした『ガラスの靴』にあう女性だとか。
ぴったりはまれば、お嫁さんと判断されて王子とそのまま御結婚。
城下町では見つからなかったらしく、次はこんな人里離れた家にも来るという話だ。
ピンポーン♪
自分達の家がこの国最後の訪問。
インターホンの音と同時に玄関の扉が開いた。
ロイ「失礼しまーす!王子の命令により今から検査を行いますのでご協力お願いいたしまーす!」
従者と思われる二人(ロイとアイク)と、なぜか王子本人がピーチ宅に乗り込んできた。
ピーチ「(きゃー!王子様だわ//)検査とは、ガラスの靴ですわよね?」
ロイ「おや、わかっていらっしゃるのならば話は早い。ではさっそく、そちらの方から☆」
そちらの方、とは静かに本を読んでいたゼルダ姉だ。
彼女はしぶしぶ立ち上がりアイクが大事そうに持っていたガラスの靴に足を通す。
アイク「…違うな」
ロイ「あらら。じゃ、次は貴女☆」
ピーチがゼルダからガラスの靴を受け取り、足を通す。
アイク「…ぴったりだ」
驚いたようにアイク達がピーチを見ると彼女は鼻をふんっと鳴らし微笑んだ。
ピーチ「私が落としたものですもの、入るに決まっていますわ」
ロイ「見つかって良かった…!さ、王子と一緒に城へ帰る馬車へ☆」
マルスが安心したかのようににっこり笑い、ピーチの手を取る。
マルス「血、滲んでる」
王子が指差したピーチのストッキングには微かながらに血がこびり付いていた。
マルス「小指を切り落としてまでガラスの靴を履こうとしたのかい?」
ロイ「…そんな、偽物!!??もうこの国に女性はいないぞ…!?」
アイク「おい、ピーチ孃。あなたの妹はどこだ」
ロイ「は?この家に三女なんていな「妹なんていません!!!!」
戸籍帳を確認しているロイの言葉を遮ってピーチは悲痛のような声を上げる。
ゼルダ「…屋根裏部屋に籠もっています。行ってあげて下さい」
ピーチ「姉さま!!!?」
怒りの形相で姉を睨むが、ゼルダは軽く受け流すどころかそれを正面から受け止めた。
ゼルダ『貴女のような欲望丸出しな女に、王子と結婚なんてさせるとのですか』
ピーチ「………チッ」
従者と王子は、屋根裏部屋へと急いだ。
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