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今にも壊れそうな扉は、ギシギシと音を立てて開かれた。
窓で歌を唄っていた小さな小鳥たちが慌てたように羽ばたき飛んでゆく。
すすけたベッドに枕に顔をうずめるようにして寝ている裸足の人。
今更ながら起こすのは悪いと思ったのか、ロイは黙って寝息をたてているシンデレラの足にそっと靴を履かせた。
マルス「…君だったのか」
やっと見つけた。
舞踏会の時みたいにドレスや宝石で着飾ってなくても、君は美しい。
従者を部屋外に追い出し規則ただしく寝息を続けるリンクの隣であるベッドに座る。
ぎしっと音がなったのは、僕の体重のせいじゃないはずだ。
太陽の光を受けてきらきら輝く金髪に軽く触れると、リンクはちょっと声を漏らして起き上がり、ちょこんとベッドの上に座った。
マルスとリンクがちょうど向き合う形になった。
その『目』には包帯が何重にも巻かれており、少し涙か何かで滲み赤くなっている。
このままじゃ視線を交わすことさえも出来ないじゃないか。
そっと目元に巻かれていた包帯をとってあげる。
ゆっくりとリンクは閉じていた瞳を開いた。
前のように澄んだ深い青の瞳は、濁ってしまっている。
まさか…
ミエテナイ?
僕はリンクの頬にそっと触れる。
リンク「…!ごめんなさい…!!」
リンクはビクッと怯えたように震えて本当に小さく謝った。
まるで虐待を受ける子供のように。
マルス「君は何も悪くない。今、頬に触れてるのか誰かわかるかい?」
リンク「…王子?」
彼は恐る恐る自分の顔に触れているマルスの手を両手で包んだ。
マルス「僕が…今どんな顔をしているかわかる?」
リンク「笑ってる王子様が見えます」
そう言って、リンクは口に優しい笑みを浮かべる。
僕も笑おうとした。
あぁ、僕は笑えない。
作り笑いは得意なのに
口は引きつるばかり。
あぁ、君はどうして
辛い目に遭っても
笑っていられるの?
マルス「…もう、君を泣かせたりしないからね」
少し遅刻をした白馬の王子は
静かに復讐の炎を燃やしたー…
Fin
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本当はアイクが王子からリンクを奪おうとするシーンがあったけど削除★
やたら長くなった。
グリムっぽくしたかったんです、見事に脱線しまくりましたが…!!
馨斗様へ捧げます(∀)
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