□COOKIE CHILDS

2/3
前へ
/72ページ
次へ
はらはら はらはら それはとめどなく流るる 弱者の美しさ。 <幼い君にキスを†> 一瞬だった。 身動きもせず、まばたきもせず、それはもう人形のようにただ突っ立って。 ただ、その幼さ特有の大きな瞳からは静かに涙が溢れて頬に伝わり、それは乾いた地面に落ちる。 さっきと変わらない。 ただ違うことは一つ。 涙とは違う赤い何かが地面にぽつぽつと散ってゆく。あの鉄臭さからして絵の具だの、そんな可愛い冗談は通じない。 はらはらはら。 そんなに涙を流したら、いま目の前にいる子の水分が枯れるんじゃないかって思った。 はは、僕もこの子と同じくらいの歳なのに。 どうしたの? リュカ「あ…ネスさん。来てたんだ」 ふと正面から声をかけると、彼…リュカはやっとこちらに気付いたように見た。 ここは『亜空』と呼ばれる、タブーってゆー悪い奴が作った空間。敵は多いし広いし…。仲間と合流するのも一苦労する。 ネス「呼び捨てでいいんだよ?歳だって近いし…友達でしょ?」 リュカ「…そうだね、ごめんネスさん」 はらり。 また涙。 どうやら、何か深い悩み事があるらしい。なんか僕のしゃべってるはずなのに、なんか上の空。 ネス「…ねぇリュカ。どこか怪我してるの?血が流れてんだけど」 そう、今リュカの腕や服、さらには髪にまでも血が付いている。生々しっ。 リュカ「…!!だ…大丈夫だよ、う…ん」 少し笑い、徐々に語尾が小さくなり彼は俯いてしまう。 何か大丈夫。無理してるのバレバレだし、つくならもっとマシな嘘をついたら? ネス「冗談じゃない、回復してあげるから怪我してるところ見して、早くっ!」 怒ったような口調にリュカはビックリして顔を上げた。僕は血がひどく付いている彼の右肘を掴む。 はらり。 リュカ「さっき、人を殺したんだ」 ネス「…初めて?」 リュカ「ううん、昨日と併せて2人目」 .
/72ページ

最初のコメントを投稿しよう!

61人が本棚に入れています
本棚に追加