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ピーチ(姉1)「いい?シンデレラ。私達は今からお城の舞踏会へ行ってきます。私達が帰ってくるまでに屋根裏の掃除、畑の水やり、雑草抜き、朝食の下ごしらえを終わらせなさい。一つでも手を抜いた場合は…」
リンク(シンデレラ)「はい、わかっていますお姉様」
ピーチ「わかれば宜しい。」
そう言って桃と白のフワフワした可愛いドレスに身を包んだ姉は、お城の使いである馬車に乗り込む。
よくもまぁ、あんなドレス来て軽々馬車に乗り込めるなーと一人感心していると、玄関からもう一人の姉が姿を現した。
落ち着いた深緑のドレスが月光を受けて輝いているようだ。
ゼルダ(姉2)「では…、あとは頼みましたよ。貴方も舞踏会に来たらいいのに…」
リンク「…俺は行けません。仕事をしないと。俺の分まで楽しんできて下さい」
ゼルダ「…そぅ。不甲斐ない姉を許してください」
リンク「いいえ、お気を付けて」
ゼルダもピーチと同じく馬車にひらりと乗り込む。
アイク(従者)「貴方は乗らないのか?」
馬を操る鞭を手にタキシードを着ていかにも紳士な人が聞いてくる。
話の流れ読めって。
リンク「自分はシンデレラですから」
光に近付くことは赦されない。
アイク「そうか。残念だ」
従者は馬車の操縦席に飛び乗り、しなる鞭で4頭もの馬を叩いた。
アイク「はぁ!!」
幾つもの馬のヒズメの音が田舎の町に響き渡っていく。
姉達を乗せた馬車は、誰も通る者などいない舞踏会までの一本道を走っていった。
俺はそれをお辞儀しながら見送る。
夜風で頭に巻いていたボロボロのバンダナが飛ばされた。
リンク「あ…」
遠く空の遥かまで飛んでいってしまったので、あれはもう諦めるしかないかもしれない。
せっかくお気に入りのバンダナだったのに。
しばらく思いにふけっていたリンクは、任された仕事をするために家へと戻った。
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