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ルイ「もし…、もしリンクにとって大切な人が突然この世から消えちゃったら…。どうする?」
リンクは答えずに冷蔵庫をがさがさとあさる。結構沢山入ってます。
ルイ「…。しかもそれを自分がしちゃうんだ。おかしいよね、大好きな人に刀を突きつけるなんて。ほんと、おかし…い」
知らぬ内にボロボロと涙がこぼれてきた。寒い。僕は器用にいすの上で体育座りの状態になって泣いた。
ぴとっ
額に何か冷たいものが当てられた感触がして、僕は顔を上げた。
目の前には白い液体の入った瓶。『ロンロン牛乳』とプリントされた可愛い牛柄のシールが貼られている。
リンク「…たかが夢じゃないですか」
僕の額に当てていた牛乳をリンクはことりと目の前の机に置いて、彼自身も僕と机を挟んで向き合うように座った。
僕はリンクがくれた牛乳の蓋を、えいやっと開けて頂くことにした。
リンク「本当の『死』を知らない貴方に、『死』を語る資格なんてない」
ふと前に座っている青年と目を合わせると驚いた。いつもの優しそうに揺れる瞳ではなく、まるで殺人鬼のように冷たく深い青。
リンク「知らないなら、あまり関わらない方がいい。…あれはただ残酷としかない代物ですから」
つまりルイージさんのような甘い人には刺激が強すぎるんですよ。
ルイ「…それもそう。…君は、強いんだね」
リンク「…。」
すいません、とだけ言ってリンクは立ち上がり、明日の朝ご飯の準備を再開する。
まるで僕を拒絶するかのように。
しばらく、この厨房には包丁がまな板を叩く音が無機質に響いた。
僕はただ涙を流し続ける。
だって、情けないんだ。
リンクは、あんなに気丈に振る舞っている。本当の『死』というものをその目で見てきているから。 それがモンスターであり、人であり。
それに比べて僕は?
なにも知らないくせに。
リンク「ルイージさん」
ぽんっ、と頭になにかが置かれる。僕はうつむいているからそれが何かわからない。
いや、顔をあげるのが怖いんだ。
リンク「今日の満月、見ましたか?」
ルイ「…は?」
気配でリンクがいつのまにか隣に立っているのがわかる。しかも月って…。月?
ルイ「見てない…や」
リンク「なら、丁度良かった。今日は天気がいいですよ」
顔を恐る恐るあげると、そこにはいつものような微笑みを作った彼がいた。
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