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       声を上げて  泣いてはる  その子の声は  誰も  振り返りやしない  それでも  その子は  泣いてはる  あまりに  うるさい て    言わはりまして  ぎょうさん  石を投げはって  その子に  石礫(ishitubute)の雨  降らしはりました  … 泣き止(ya)んで  病んでもぉた  その子は  真っ黒な影に  ならはりました  みんな  恐い 言うて  逃げはった  その子は  笑いながら  追い掛けた  その子が過ぎし  道端に  赤ひ赤ひ  足跡だけが  くっきり  そして …  ぼくの目の前にも  後ろにも  だんだん近付く  … 影ひとつ      
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