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       光が  こぼれた  ぶ厚い綿(wata)から  光の槍が地を刺す  黄金(kogane)色の龍が  山の頂きに沿ひ  空気を裂く  体を突き抜くような  体の奥底迄響くような  何かが割れるような  … 音が  光が  こぼれる度に  鳴り出した  空気が  叫んでいるのだ  龍に裂かれたから       だから     あんなに  体を突き抜くような  体の奥底迄響くような  何かが割れるような  音が鳴り響くんだ  空気が  泣いているのだ  龍が裂いていくから  綿から大きな雫が      … ぽたり  その涙に  気付かぬ龍は  また  空気を裂いていく  光の槍は  空気や地を突き刺す  … 聞こえぬか?  空気の泣き叫ぶ声を  … 見えぬか?  地が震えているのが  気付いた龍が  過ぎ去りし空に  綿は織られゆく  美しき芸術を  綿雲の輪が  山の頂きを飾り  七色の門が  地に根を張る  儚く散る命のよに  すぐに消えてしまう  まるで  短き夢を見せられたよに      
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