とある誕生日に

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俺は毎年飛び降りる。日時は俺の誕生日。00:00にダイブだ。   いきなりこんなこと言ってもわかりらないか。説明しよう。   毎年、俺は誕生日に高い所から飛び降りる、という一大イベントを催している。どうして誕生日か、というと万一の事態があったときにそれが俺の命日となるからだ。   誕生日と命日が一緒…かっこいいだろ。   しかし、ただ飛び降りるだけじゃあ面白くない。毎年少しずつ高さを上げているんだ。もちろん地面はコンクリートを選ぶ。   よくアニメの戦闘シーンとかであるだろう。空中で闘って二人してスタッて着地するんだ。   あれがやってみたくて今はビルの高さで言うと10階の高さまで到達している。嘘じゃないぜ。   23:58…あと2分。今年は勝負をかけようかと思っている。   20階…にいるんだな、今。   着地することができたら…それこそ死んでもいい。俺はバカだ。何とでも言ってくれ。   さて、そろそろ……ん?何だあれは。いや、誰だあれは。   時刻は23:59、こんな時間、あんな所に人…ヒト…だよな。   向かいのビル、同じ階に人影があった。しかも女じゃないか?髪が長い。   まあ、俺には関係ないか。00:00…さて、いこう。俺は飛んだ。…と同時にまさかとは思ったが彼女も飛び降りた。   同じ速さで落下。物理でやったな。物体の落下速度はそのものの質量によらないんだ。ニュートンありがとう。   なんてことを考える余裕もある。今年もいけそうだ。   …スタッ。……いった。着地。決まった。やった。…彼女は?   こっちを見ている。何ともないみたいだ。   俺たちはすぐさま近づいてお互いの過去を語りあった。まさか同じことを考え、実行していた者がいたなんて…。しかも誕生日も一緒。奇跡。ミラクル。       これが父さんたちの出会いだ。信じるか信じないかはお前たち次第だぞ。   なんてな。
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