まぶたの裏に映る点

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明るい光とか、太陽見た後に残る残像。あれって一般的に言われる科学的な残像とは違う気がする。 違う。君の言ってることもわかるんだ。でも何かが違うんだよ。少し神秘的というか…どうしよう、学術的に説明出来ない。 まあ理屈じゃないんだ。実証してみようか。まず太陽を見…おっと、今日は曇りか。といってもこの状況じゃどっちみち太陽は見えないか。 そしたらこれを20秒間みてもらおうかな。そう言って俺はリュックの中から懐中電灯を取り出した。 さあ、言ってる意味がわかるかな。このまばゆい光。神秘を説明、とりあえず君にわかってもらおうか。 タカヒロは光をじっくりと見つめている。 6…5…4… そうさ、この混沌とした 3…2… 不毛な関係に 1… よし、もうそろそろいいだろう。そのまま目を閉じて。いいから。俺だってだてに国立大学卒業してない。実験の先には揺るぎない結果と満足。ほら、目閉じろよ。 タカヒロは言われるがままに目を閉じた。 神秘…ほら、閉じた瞬間は赤く見えるだろ。ん、目を閉じているのだから「見える」はおかしいって?違う、君は今見ている。君のまぶたの裏を。君のまぶたは君の目から最も近いスクリーンんさ。 続けよう。その赤はやがて黄色へと色を変えるんだ。いつもならこのへんで目を開けるんだよ。それじゃあ意味はない。俺はその先を見た。ここからが重要なんだよ。さあ、立って。血液の循環が必要なんだ。こんなことまで考えないだろ、普通。その黄色はさ、立って、違うつま先。つま先で立つんだよ。 終止符を打とうじゃないか。 俺はタカヒロを崖から突き落とした。 何色に見えた?
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