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[Eメール受信中…302/999…]
[Eメール受……]
「いい加減にしろバカ!」
この時、俺は同じことしか言わない携帯を本来折りたたむのとは逆に力を込めて折りきった。バキッという音とともに携帯はディスプレイとボタン部分の二つに分かれ…バサバサバサバサ。
ん、なんだこれ…手紙?
[俊明へ。母より][俊明へ。母より][俊明へ。母より][俊明へ。母より]
切り離された二つの真ん中から山のような手紙が次々と落ちてきた。宛名と送り主は全て同じ。母…。母さんなのか?
物理的な問題点など関係なかった。俺は二三通の中身を慌てて確認したが、それらはどれも同じ内容だった。
[俊明へ。いきなりゴメンね、こんなにたくさんの手紙。この手紙見てるってことは携帯壊しちまったんだね。こんな方法でしかあんたの前に現れてやれないでホントにすまないって思ってるんだよ。あんたまだ母さんのこと忘れられないでいるんだろうね。あんたが母さんのことどう思うかなんてあんたの勝手だよ。でも、そんなんじゃね、あんたは前に進まないし大学にだって落ちちまうよ。母さんはもうあんたの前にはいないんだ。しょうがないことだろうよ。母さんはあんたの悲しい顔みたくないし、辛いさんのこと思ってメソメソしてんならもうやめな。母さんいつまでも逝けやしないよ。あんたの頑張ってる姿が母さんにとっては一番の薬になるんだよ。あの世では母さん健康でいたいね。薬を処方してくれてるのがあんたしかいないんだから頼むしかないだろうよ。頑張っておくれ。母さんはあんたを信じてる。わかったね。いつもそばにいるから、最後まで、父さんと頑張りなさい。以上!しっかりしろ俊明!母より]
俺は止まらない涙で目の前がぼやけていた中、机に転がっているシャープペンを手探りで探し、参考書を開いた。
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