クールな道のり ホットな出会い

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   ―――今は冬。  寒いのは当然のことだけれども、今日はいつも以上に寒い気がする。  灰色の分厚い雲が、淡くく澄んだ空と、柔らかく光る太陽を隠してしまっていた。  畑には霜が降りており、軒先には数本の長いつららがぶら下がっている。  ハァーと軽く息を吐けば、白い煙となって宙へと消えていった。  寒さを凌ぐために、マフラーで口元を覆ってから自転車を漕ぎ始めた。  スカートを穿いているため、露出している肌に冷気が当たって痛い。  いつもより外に出るのが早いせいなのか、車や人が少なく感じる。  凍結してしまった路面がある程度溶けてから行動した方が、安全性は高いと考えたのだろう。  ブレーキをかける度に滑りそうな感覚が、早く家を出た私を後悔させた。
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