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やっとのことで坂の中間地点までくると、人が目に入った。
この凍結で滑ってしまうのを恐れているのか、自転車から降りて手で押している。
男なのに情けないなあ……なんて思いながら、彼の横を通り過ぎようとした時だ。
――ガッシャーン
――ガッシャーン
一つ目の音は私のすぐ隣から聞こえてきた音。
二つ目の音は一つ目の音に驚いた私が、自転車ごと倒れた音だ。
「イタタタ」
ぶつけた所を押さえ、横を見れば私と同じように転んでいる人がいた。
「「……あっ」」
不覚にも目が合ってしまった。
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