其、不良

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気付いたところで咄嗟に口を押さえてはみたけど、一度出てしまった言葉はどうすることもできない…。   けど、白熊さんは意外にもまた、俺の予想を裏切った行動を起こした。 何故か、俺と同じように口元に手を添えた白熊さんが、俯きながら俺から顔を背けると、少し距離を取った。 よく見ると、心なしか顔が少し、赤い…。 どこに照れる要素があったのか、俺にもう少しだけ勇気があったら是非聞いてみたいけど、生憎そんなものはどこにも無い。 1つ解ったのは、余計に白熊さんが解らなくなってしまったこと…。 「…わっ!! 何―「…ふぁぁ……ん、ミチルってお前のことだったんだな」 白熊さんのことは夏木に聞いた方が早そうだ。と、白熊さんが離れた隙に一息ついていれば、背後から急に誰かがのしかかってきた。 俺の首に両腕を回して張り付き、全体重を俺に預けてくる、視界に映った紫色にも見える黒い毛先の男。 この騒動の中でも熟睡していたのか、さっきまで俺の背後の廊下で寝ていた八田が目を覚ました。 …思いの外、重いんだけど。 …俺、体はそんなに柔らかくないからちょっと痛いんだけど。  
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