其、フルーツタルト

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松永先輩が必要なトレーやボールを流水で洗えば、ついさっき(松永先輩が被服室から出て来てから)ちゃっかりと現れた梅田先輩が、それを布巾で水分を拭う。   さらにそれを、俺がまた各台に持って行く、と。 その工程をのんびりと3人で、こなす。 フルーツタルトを作ると言っても、恐らく、オーブンに入れるまでだろうから、そんなに時間もかからないけど、この作業自体は3人でこなせば直ぐに済む。 この後、材料を分けるにしても同じ。 昨日の活動時間中に、できることはし終えていたから尚更だ。 調理室の前方、入口に近い場所にある、言わば教師用の調理台。今、竹中先輩がサンプル作りの実演を行っているその背後の大きなホワイトボードには、フルーツタルトのレシピがデカデカと書かれている。 書いたのは、俺。字はそこまで汚くはないから、読めないことはないはずだ…。水上は俺の隣で、カラーペンで絵を描き足して彩りを添えていたけど…。 そして、これから俺達が使う台の上には、調理器具以外に、綺麗に畳まれたエプロンが、今日実習に参加する1年生の人数分(約30枚…)が各台に乗せられている。 これは…全部…、昨日…、被服室に1人こもっていた松永先輩が用意したものだ。 しかも、全部、色も柄もデザインも装飾も違う…。  
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