其、フルーツタルト

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俺、もう…、部長とは口きかないし、目も合わさない。   昨日1人で、今日の製菓体験の1年生選抜を悶着無く遂行したのは香先輩だけども…。 部の重鎮は松永先輩だし、別に問題は無いはすだ…。 後輩の恨みを思い知ればいいさっ…。 「スズちゃん、何か…、顔が怖いけど、大丈夫?」 「え、あ…。大丈夫ですよ、カオル先輩なんて地獄に墜ちろ…なんて微塵も思ってませんので」 「あぁ、そう…?その意見には同意するけど、スズちゃんって腹黒だったんだね」 器具を拭き終えた梅田先輩が布巾を畳みながら首を傾げ、怖い顔になっていたらしい俺を心配してくれた。 同性なのにその仕種が可愛くて、ちょっと癒されたおかげでうっかり本音を零してしまった。 でも、梅田先輩も賛同してくれたから、これも特に問題無いだろう。 俺の腹黒さは知らないけど…。あ、あれだな。暗黒色の篠崎の腹の色がちょっと感染しちゃっただけだな、うん…。 「で、スズちゃん。一昨日ツバサから受け取ったエプロンはどうしたの?」 「……」 だが、これは問題有りだっ…。 「え…、あの…、えっと…、汚れるんで…、そのー…」 ん?と、ピンクが抜群に似合う梅田先輩が、真っ直ぐと俺の目を見ながら可愛らしく首を傾げ、脅してきた(俺ビジョン)。 特にやましいことも無いのに、ひしひしと伝わる妙な威圧感に圧され、言葉はしどろもどろだ…。  
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