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情けないなぁ…と自嘲していれば、今ので通じたのか、梅田先輩が間髪入れずに、ふぅん、と素っ気ない返事をしてくれた。
松永先輩には一瞬の間が生じた分、何だか拍子抜けだ。
…あ。
既に一昨日、デジカメに俺の着用姿を収めたからなのか?…深く突っ込まれない分、それはそれで、何だか複雑だ…。
「それより、スズちゃんっ。撮ってくれない?」
こっそり肩を落とした俺の気など知らない梅田先輩が、俺の手にデジカメを手渡してきた。
そこでハッとする。
この人は今、自分のことにしか興味が無いようだ。何せ、自他共に認めるナルシストなのだ。
「可愛く撮ってねっ」
「はいはーい」
同性をも虜にする悩殺キューティースマイルを惜しみ無く曝す梅田先輩が次々とポージングを決めていく。
可愛く撮るのは俺のウデじゃなくてデジカメだよなぁ…と、責任転嫁をしつつ、先輩の頭からあのエプロンの話題が離れるのならと、俺も意気揚々に乗っかり何度もシャッターを切ってあげた。
「何してるの?」
束の間の撮影会に満足した梅田先輩が液晶を眺めてチェックをしていたら、俺の隣に現れた人が遠慮勝ちに声をかけてきた。
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