其、フルーツタルト

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「あ、九条先生」   俺の隣に現れたのは、俺のクラスの担任であり、たまにしか顔が出せない家庭部顧問の九条先生。 若いのに、若干疲労の溜まった顔で俺の呼び掛けにやんわりと微笑んでくれた先生。 放課後は色んな意味で電池切れらしいけど、今日は来てくれたみたいだ。 「見て見てっ、先生っ」 「うん、可愛いね」 そんな先生に、無邪気にデジカメの液晶に写った自分を見せつける梅田先輩にも、優しく微笑む。 「…(いい人だぁ…、でも…)」 少し頼りないところもあるけど、根は優しい先生を見てほっこりしていたけど、ちょっと気になることが…。 朝も帰りのSHRも空色のカッターシャツを着ていたはずなのに、何故、先生は今黒のジャージ(上下)に身を包んでいるのだろうか…。 今週と来週はどこの部活も見学週間だから、放課後に委員会や労働事は無いはずなのに…。…あ、体育委員以外は。 「先生、服どうしたんですか?」 「うん?…あぁ、…これ?」 俺の声で察知してくれたのか、先生が教室で見せるものより随分柔らかい苦笑を浮かべる。 篠崎が近くに居ないと、こうも普通に会話ができるのか…と、篠崎の恐ろしさをこんなところで改めて確認…。  
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