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「じゃ、またね、みっちゃん。
…さよなら、友達の篠崎さん」
上機嫌に満面の笑顔を浮かべたかと思うと、すぐ近くに居た篠崎に挑発的な笑みを向け、誠は手を振って遠ざかっていった。
「マ…マコト!! ががが学校ではするなって…!!!」
俺はというと、キスされた箇所を片手で押さえ、顔をきっと真っ赤に染めながら、窓から半身を乗り出して、廊下を歩いていく誠の背中に叫んでいた。
「スズっちどしたの?顔赤いよ?」
「え…いや…」
誠の姿が廊下から消え、すっかり平和になった教室内に体を戻すと、真庭達3人の拘束を振り切った水上が顔を覗き込んできた。
どうやって脱出を図ったのか些(いささ)か気にはなるけど、様子からもさっきのは見られていないみたい。良かった…。
「あり?シノっち?」
俺より少し目線の低い水上が誠のことを俺から聞いていると、篠崎が水上の肩を引いて俺の前に立ちはだかった。
無表情で近付く篠崎にどうしたのかを聞く前に、両頬を篠崎の両手で包み込まれる。
「ア…キ…?」
そのまま瞬きをする間も無く、視界いっぱいに篠崎の端正な顔が広がり、唇に柔らかい感触を覚えた。
あー…もしかして、俺…篠崎とキスしてる…?
ほんの数秒の出来事。驚いた俺は手に持っていた弁当を落とした。
「キャーッチっ!!!」
けど、水上が途中でキャッチしてくれたみたい…。
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