其、学校

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弁当の安否を頭の片隅で暢気に考えていると、篠崎の唇は俺の下唇をパクリと甘噛みし、ちゅっ、とリップ音を立てながら離れていった。   その音に敏感に反応した俺は再び顔が熱を持ち、赤くなるのが解った。 そんな俺の反応を見た篠崎は、嬉しそうに微笑むと俺を置いて席へと戻ってしまった。 篠崎の…黒くない、綺麗な笑顔を間近で見て、思わずドキッとしてしまった…。 …さ…さすがはイケメン(死語) 腰抜けるかと思った…。 ドキドキと心臓の煩い俺の視界に映るのは、自分の席に戻るなり手帳を開く篠崎と、唖然と立ち尽くすクラスメート達。 誠とのキスは見られなかったのに、篠崎とのキスはバッチリ見られた…。 どうやら、今度は俺が固まる番みたいだね。 辛うじて動くのは、憤死寸前で涙の溜まった目を保護する瞼ぐらい。 やっぱり居るよ、魔法使い。今度、捜しに行こうかな…。 水上なら絶対ついて来てくれそうだしなぁ…。 「シノっち、だーいたーん」 俺の弁当を抱えた水上の発言も、現実逃避気味の俺の脳には届かない…。 .
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