第一幕 風と水と時と光

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「神名、迎えに来た。」 「何時もありがとね、光。」 放課後、私を校門前で待っているのは、 翡翠色の長い髪と金色の目を持つ、上風光(かみかぜみつる)。 「今日は何処に行く?」 「そうね・・・より道はなし。真っ直ぐ家に帰るわ。」 「解った。・・・では、行こうか。」 ―――私が他の人と違う点。 それは、容姿端麗な男の人たちが、何人も私の側に居ること。 中には小さい子供や、モデル並に綺麗な女性も居る。 それだけではなく、彼らは――――― 「皆、ただいま!」 「わーい、わーい!」 「お姉ちゃんお帰りー!」 この双子の男の子は、風見隼人(かざみはやと)と政人(まさと)。 「・・・お帰りなさい、カンナ。」 この女性は、新澤美香(あらざわみか)。 「ただいま、美香。」 「今日も、学校では何もなかったかしら?」 「大丈夫よ。」 「ならいいわ。・・・カンナ、何かあったらすぐに私達に言うのよ。」 「皆に言う前に、光に言うわ。」 「あらあら・・・相変わらずカンナったら、光が大好きなのね。」 神名の家には、沢山の男性と、数人の女性と子供がいる。 皆血の繋がった兄弟や姉妹などではなく、寧ろ赤の他人同士である。 では、何故他人同士なのに一つ屋根の下で暮らすのか? 「神名ぁあああっ!!」 「五月蝿い」 叫び声をあげながら走ってきたのは、 長い黒髪に紫の目を持つ水神明人(みずがみあきと)。 光が走ってきた明人を一言で止めた。 「っな、なんだよ兄貴!別にいいだろ抱き着くくらい!」 「明人。神名は未だ邪気が残るお前に、あまり触れてはならん。 我等が神子なのだ、大事にしろ。」 「・・・ちぇ・・・まだ駄目なのかよ・・・。」
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