第一幕 風と水と時と光

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「お前は最も名が知られている故に、邪気も強い。 浄化されるまでには、まだ時間がかかろうな。」 そう言ったのは、 長い黒髪と銀の目を持つ、篠宮司牙(しのみやしが)。 その傍らには、 深緑の長い髪に灰色の目を持つ門七矢(はざまななや)が居る。 「あんたは俺よか邪気あんじゃねぇの?」 と、明人が言う。 すると、七矢がこう返した。 「邪気の強さは、有名であるかないか。 司牙も有名であるが、明人ほどではない。」 「・・・泣きたい」 「泣かないで、明人兄さま。」 「兄さまにだって、カンナお姉ちゃんに抱き着ける日がくるよ!」 いじけだした明人を、風見兄弟が慰めている、その時だった。 『―――それでは、次のニュースです。 本日未明、太平洋沖にて一隻の船が沈没しました。 調べによると、タコのような足が船にからみつくのを見たという、 目撃者が多数いるようです。』 ・・・このニュースを見て、一番に声をあげたのは、 明人だった。 「はぁ!?あいつらまだやってんのか!?」 「・・・神名、行くか?」 「勿論! ・・・光、明人、七矢、輝明(てるあき)!太平洋に行くよ!」 「・・・御意」 「御意。」 「了解!」
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