放課後の屋上

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~もうどれくらい歩いてきたのか?~ イヤホンから漏れ聞こえる音楽が、私のもどかしい気持ちを嘲笑うかのように秋の寒空に吸い込まれて行く。 どうにかならないんですかねぇ?なんて、誰にでもなく問い掛ける。 「寒っ…」 そんな気持ちを打ち消す願いをかけたように、呟いた独り言。 それもまた、空に吸い込まれるように消えて行った。 ここは、下校しようとする生徒達のザワメキも何となく遠くに聞こえてくる学校の屋上。 膝を抱えて地べたに座っている少女は、容赦なく吹きすさぶ秋の寒風に思わず顔をマフラーに埋めた。 かじかんだ両手で、空にかざす様にした封筒を見上げてみる…  面と向かって言おうとして挫折して。  手紙で伝えようと挫折する事5回…  今、見上げている封筒が6作目の手紙… 彼に思いを告げる為に書かれた手紙。 今の時代メールに取って代わられているもの… そう、ラブレターだ。
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