見えない敵

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「本当に?」 「俺は、心も身体も美里に夢中だよ。分かってるだろ?」 「うん」 陸は美里の持っているカップを取りテーブルに置くと、その手を背中に滑り込ませた。 「また?私達、暇さえあればエッチしてない?」 陸の柔らかい髪を手ですきながら、美里が言う。 「だって美里、すっげーいいんだもん」 「そう?」 「自分じゃ分からないだろうけど、お前のって…凄いんだよ」 陸が美里に覆いかぶさった時、テーブルの上に置いてある携帯が震え出した。 「どっちの携帯?」 「知らねぇ」 美里は身体を起こして携帯を見ようとしたが、音はすぐに止んでしまった。 「多分私の…メールだわ」 テーブルに伸ばそうとする美里の手を、陸が押さえる。 「後にしろよ」 「でも…」 「いいから。って言うか、家に着いたら電源切っとけよ」 「無茶言わないで」 美里がそう言った時、またも携帯のバイブが響き渡った。
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