陸という男

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美里が会議室を出てからの研修は、陸にとっては退屈そのものだった。 人事制度や社内システムの話は、もちろん大切だとは思う。 しかし陸の頭の中は、美里の事で一杯で、内容が全く頭に入ってこない。 『ヤバイ…全然覚えられねぇや』 真剣に聞かなければいけないと分かってはいるものの、美里の姿や声が頭から離れず、どうしても気がそぞろになってしまう。 昼休みになり、せっかく同期になったんだから皆で昼食に行こう、と誘われた時も、ぼんやりと美里の事を考えながら着いて行った。
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