生麦事件

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久光の行列は何もなかったかのように進み出した。 大久保『久光様、こんまま神奈川宿に宿泊すれば、夷人どもの報復も考えられもす。程ケ谷宿まで行き周辺の守りを固めたほうがいいのでは…』 久光『そうじゃのぅ。夷人どもに囲まれたなら厄介じゃ。そちに任す。』 大久保『はっ!』 大久保は行列を程ケ谷宿まで進める指示をする。 程ケ谷宿に着いた薩摩藩士たちは宿場を幾重も守りを固めてイギリス人の報復に備えた。 大久保は幕府の役人に今回の殺傷事件の説明をするために足を運んだ。 役人『今回の殺傷事件はいかなるところか申していただきたい。』 大久保『この度のことは異国人が咎めるのも聞かず、我が藩の行列に乗り入れので、怒った従者の足軽・岡野新助が斬り付け、そのまま逃亡して行方不明になりもした。』 役人『それは本当でござろうな。して、薩摩は逃げた岡野とやらをどうするつもりかな。』 大久保『逃げた足軽を探すことは難しいと思いもす。』 役人『であるなら事が済むまでこの地に滞留して頂きたい。』 大久保『我が藩は朝廷の勅使を警護しての行列でありもす!そん行列をおはんらが留める事ができるとお思いかっ!』 役人『…』 翌日久光一行は幕府の滞留を無視して西上を続けた。
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