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おれらは3メートルを超えるであろうそそり立つ門を目の前にしていた。
その隙間からは広大な庭園と遥か遠くに建物の天辺だけが見える。
――敷地にも入ってないのにちょっとビビり始めてる、おれ。
「いや~さすがだね。学校というよりもはやベルサイユ宮殿だ、菊田!」
右手を額に当て遠くを眺めながらのんきなことを抜かしているのは眼鏡クンこと、黒沢。
おれらは3月まで何の変哲もないごく普通の公立中学に通ってた。
おれよりも数倍、頭の出来がいい黒沢が不合格になるはずもなくて、今日からこいつとは同じ“学園の仲間”だ。
ちなみに、この『麗華学園』の受験を決めたのもこいつの影響。
“受験なんて確率だから”なーんて軽いことを言うから一緒に受けてみると、なんとそれが見事合格してしまったわけで。
それがどれくらいスゴいか~って言うと、その結果を聞いたおれらの中学の担任が腰を抜かしたくらいだ。
いや、それまで一切知らなかったんだよ。
おれだってこの学園のスゴさってやつを合格してから初めて聴いたんだから!
その時は驚きすぎておれが腰を抜かしそうだった。
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