二話 接触

10/26
前へ
/319ページ
次へ
   写真の女性が、石原 薫だという根拠は無かったけど、ずっと立ち読みするのも気が引けてレジに出した。  予想通りのリアクションを、本屋のおばちゃんがしてきた。  コンビニで買うか…… 「あっ、あの、この女優さんのファンなんです。それで……」  苦し紛れの嘘をついて、表紙に名前のある不倫騒動で、渦中となってる女優のファンになってみた。  実際には、顔と名前が一致する程度だ。  商店街の人間関係は素晴らしいと思うけど、今はただ煩わしいばかりだった。  買った雑誌の袋を、自転車のカゴに入れてアパートへと急いだ。もし、写真の女性が石原 薫……Mならば、有力な手掛かりといえる。  その思いが、ペダルを踏む足に力を与えた。  女性週刊誌を買うなんて、生まれて初めてだった。否、見る事自体が人生で何度目かってくらいだ。 「結構、エグい事が書いてあるんだな」  未成年では、買えないのではないかってくらいの過激な内容で、本屋のおばちゃんが商店街で、変な事を言って回らないかと心配してしまう。    
/319ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5346人が本棚に入れています
本棚に追加