プロローグ

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   ボクは今、目の前の彼女にフラれようとしている。  その理由は、これから語られるんだろうけど、二人の関係は確実に終わりの時を向かえていた。  ファミレスの禁煙席。店の奥の奥で、角のエル字になってるソファーにボクが座り、向かいの椅子に彼女が座る。  ハタから見たら、どのように見えるか。  別れる寸前のカップル。  説教される、バイトの後輩とその先輩。  浮気がバレた彼女と、見破った彼氏。  家出をした妹と、連れ戻しに来た兄。  最初の以外は、座ってる位置関係から成立しない席順だったりする。  ボクは何を冷静に分析し、他人事のようにこの状況を見ているのだろう。 「もう、限界なの……」 「何が、限界なんだよ」  冷静に分析していた理由には、今のやり取りが大きな意味を持つ。  おそらく彼女は、次に「それは、言えない」と言うだろう。 「それは、言えない……」  これと同じ状況を、過去に3回ほど経験している。これで、4回目だ。  ボクの身に、何かが起きている。  それだけは、間違いないようだ。    
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