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火曜日。
複雑な心境で出勤して仕事に当たったけど、中々集中しない状態で、ロールケーキの出来上がりの時間になった。
押し寄せるお客さんをさばきながら、その時だけは何も考えずに仕事が出来たのは、ある意味で助かった。
「そろそろ、お昼の時間ですね」
「詩織ちゃん、今日は喫茶コーナーの方をお願いできるかな」
「はい、分かりました」
強引に昼間の時間帯に喫茶コーナーを、詩織ちゃんに押し付けて、ボクがテイクアウトコーナーをやる事にした。
それは、石原 薫が来るのかどうかを確認するため。
「もしも、来たならば……」
そう言いながら、来ないだろうと思っていた。手紙にも書いてあったし、石原 薫を演じる必要も無くなった。
昼休みの時間帯、予想通り石原 薫は来なかった。
お陰でショートケーキは、ほとんど売れなかった。まあ、2個だけ売れても大して変わらないが。
「じゃあ、詩織ちゃん食事に行ってきて」
「はい、行ってきますね」
変わりのない日常がここにあって、穏やかな時間が流れていた。
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