二話 接触

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   平和だと感じていた時間は、あっけなく崩されてしまった。  エアポケットのように、お客さんが途切れて店内にはボクだけの状態で、完全に気を抜いていた。  目の前に、ごつい四駆でメタリックの外車が止まった。 「いらっしゃいませ……」  その車を降りて店に来たのは、ジーパンとジージャンに赤いキャップを被った、若い女の子だった。  ただ、サングラスをしてるから、顔を見ることは出来ない。  そして、少しの時間ショーケースを眺めると、あるケーキに目を止めてサングラスを外した。 「ショートケーキを、2つ」 「はい、お待ちください」  気にはなったけど、箱にケーキを詰めて会計を済ます。そして、お釣りを渡す。  石原 薫なら、会計はいつもピッタリで支払っていた。 「こちら、お返しとお品物になります。ありがとうございました」 「どうもありがとう。亮くん、油断しすぎてない?」 「えっ……」  サングラスをかけ直そうとする、その瞬間に見えた顔はあの石原 薫だった。    
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