二話 接触

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   探偵……これも、ピンと来ない。  売れない女優。  だったら生活の為に、バイトをしていてストーカーなんて、やってる暇なんて無いだろうな。 「何者なんだよ……」  探偵や女優以上にぶっ飛んで、秘密結社やらスパイなんて思い付いて、自分の馬鹿さ加減に落ち込んだりした。  無職……  しかも、莫大な親の遺産をもらって、仕事もしないで遊んでばかり。そんな時に、庶民のボクを見付けてからかい半分で、ストーカーしてみた。  やっぱり、非現実的だよな。 「お疲れさまでした」  午後からの仕事中に、その事しか考えてなかった。仕事が終わって店長に挨拶したけど、その言葉にも気持ちは入っていなかったはずだ。  頭の中を、石原 薫が支配している。 「そんな意味では、思うつぼなのか……」  ストーカーをしてまで、ボクの気持ちを自分に向けさせたいなら、その思惑は達せられただろう。  職業が分かって、本当に辿り着けるか。  だけど、そのくらい決め付けないと前になんて進めない。    
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