二話 接触

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   記事自体は、ボクでも知ってる女子ゴルファーや、グラビアアイドル。新人の女優に女性棋士など、既にシンデレラドリームを掴んだ人達が、白黒の写真入りで紹介されている。  その特集記事の最後の最後で、証明写真程度の大きさの顔写真と、プロフィール紹介くらいの記事で、紹介されている女性作家がいた。 「似ている……」  石原 薫、しかも西原商事の制服を着ていた時のような、地味な印象の写真が掲載されている。  だけど、写真が小さすぎる。  更に、週刊誌だからカラーではなく白黒の写真。これでは似ているってだけで、それ以上でもそれ以下でもない。 「昨年末、深夜ドラマでヒットした作品の原作者。斬新な設定とストーリー展開で、高い評価を受けた。次回作に期待の――」  小さな声で、音読していた。  記事を見る限り、シンデレラとか期待のニューフェイスとか、そんな扱いでは無かった。  記事の穴埋め。  そんな印象が、色濃く浮き出ている。 「すいません、これ下さい」 「あれ、亮くん。これ、女性週刊誌だけど間違ってない?」    
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