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とてつもない悲しみと喪失感が嵐のように私のナカを暴れ回る。
乾いた叫び声は嗚咽にかき消されて、苦しい。
…―苦しい。
「っーー!!!!」
声にならない叫びを上げて私は激情のままに地を蹴り、床に転がっていた剣を持って男の元へ駆け出した。
よくも、よくも…!!
男の姿だけを瞳に捉え、頭が真っ白のまま駈ける。
ガキィン!と派手な音を立てて、私の持っていた剣は宙を舞った。
その様子がまるでスローモーションのように、永遠の刹那に感じられた。
「残念だったな」
私の剣を自身のそれで弾き返した男が、見下した瞳でそう言った。
「っ!!よくも…!」
その言葉に更に心をかき乱された私は、せめて一矢報いようと、再び剣を取ろうと腕を伸ばす。
「っ、きゃ…!」
しかし、伸ばした腕はそのまま男の逞しいそれに掴まれ、動きを封じられてしまった。
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