愛が故に

3/4
前へ
/9ページ
次へ
「ずっとお前が欲しかった。……俺のために生きろ。もう、逃がさない」 まるで死刑宣告を受ける囚人のように、私の心は絶望感に苛まれた。 同時に、こんな戦争の原因が私にあるのだと、信じたくない事実が脳裏に浮かぶ。 「う、そ…。いや、いやあ…!!」 壊れたように頭を振る私を見て男が微笑んだのを確かに見た。 「……それでいい。壊れて、憎悪して……俺だけを瞳に写せ」 ……狂ってると、思った。 憎しみが増した気さえした。 ―…刹那、ぐらりと頭の中が揺れた。 度重なる精神的なショックによって気を失う瞬間、私の耳に男の低い声が届いた。 ―…愛している、と。 その言葉を最後に、私の意識は途切れた。 行き着く先は、愛か憎しみか。 狂った想いの中で少女は何を手にし、何を失う? すべては、強すぎた想いの果てに。 愛憎狂想曲 (想いは、罪に変わる)
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加