寝息

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ふと、夜中に目が覚めた。 冬だというのに、暑くて寝苦しい。 耳を澄ますと、襖の向こうから誰かの寝息が聞こえた。 「そんなはずはない。だって襖の向こうには誰もいるはずがないのだから・・・」 私は、祈るような気持ちで、南無阿弥陀仏と心の中で叫んだ。 「もしも幽霊ならば、成仏して下さい」 ドキドキと高鳴る胸を抑えながら、ただただ朝の訪れを待っていた。 気がつくと、私は眠っていたらしい。 隣の部屋へ行くのを躊躇する。 “もしも何かが見えたらどうしよう・・・” 重い体を起こし、勇気を出して隣の部屋へと足を踏み出す。 そこには、買ったばかりの、 ナショナル空気清浄機がフルに大活躍していた。 「ああ、そういう事ね・・・」 私は安心して、二度寝をした。
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