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どぉしよぉ~…
湖につかない…
一本道だったはずなのにぃ…。
いつの間にか真っ暗だし、もぉみんな民宿に着いたかな…
はい、やっぱり迷ってました
柚姫は一人戻ってから、1時間程迷っていた
周りは完全に闇に溶け
風が強く、冷たくなり
昼間とは打って変わり不気味な世界へと化していた
木々のざわめきと、鳥達の悲鳴にも似た鳴き声に
柚姫は恐怖心で泣きそうだった
どぉしよぉっどぉしよう!!
進めど進めど同じ景色
ましてや暗闇の中。
足元も見えない状況で
何度も転けた。
更に迷うこと30分
大分寒くなってきた
昼間用にジャージを着ているだけの柚姫には、凍える程寒い
焦りやら不安やら恐怖心やらでパニックに陥り
地に足が付いているのかさえわからない状況に
遂には泣き出してしまった
ヒック どぉしよう…どぉしよう……………誰かぁ
後悔した
強がって一人で来てしまったことに
涙を拭い、必死で前に進む
静寂がうるさい
闇夜から迫り来る見えない恐怖
もう限界だと思った瞬間
今までとは違う
開けた場所に出た
柚「…………!!ここだ!!」
が
喜ぶのも束の間
なんと携帯がある方とは逆の岸に出ていた
「そんな…」
先程までの幻想的な景色とは違い、夜の湖は本当に怖い
しかも向こう側へ行くには
岸壁を渡らねばならず、足場がとても小さかった
身体は傷だらけで
心も僅かなゆとりすら残っていない
心身共にボロボロだ
行くべきか悩んだが、立ち止まる訳にもいかず
恐怖心と寒さから震える身体を引きずって、壁に手をかける
ゆっくり足下を確かめながら
壁を這う様に進む
しかし
崖の高さは想像以上で
思わず眼を瞑ってしまう
ただでさえ足場が小さいのに、恐怖心で情緒不安定な今の柚姫には、とても乗り越えられる崖ではなかった
つい立ち止まって泣いてしまう
鳴き声を漏らしながら
慎重に、慎重に進む
泣いては進み
止まっては進みを繰り返した
ゆっくり…ゆっくり
遂にあと5メートルで向こう側という所だったが
なんと涙で前が霞んで足を滑らせてしまった
柚「あっっ!!!!!!」
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