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柚「…………相……沢…」
陽「離すなよ!!今引き上げるから!!もう、大丈夫だ!!」
間一髪
柚姫の姿に気付いた陽佑が慌てて駆けつけたのだった
ーーー
陽「はぁ~、危なかったぁ…
泣き声がすると思ったらあんなとこにいるんだもんなぁ」
柚「………」
湖の畔に二人して腰を抜かしたかの様に座り込んでいる
陽「携帯がまだあったから何かあったんじゃないかと思ったけど、待ってて正解だったよ!」
柚「………」
陽「大、丈夫か…?」
柚「……」
ずっと柚姫は俯いたまま
陽佑は心配そうにのぞき込む
柚「………った」
陽「え?」
柚「もぉ、ダメかと思ったぁーーー!!!!」
陽佑と会って、緊張の糸が切れたのか
柚姫は、大声を出して泣き出した
陽「……っ」
陽佑は、一度険しい表情を作り
力一杯拳を握りしめたが
ふと力を緩め、恐る恐る柚姫の頭に手を置いて
そっと撫でた
陽「もう大丈夫だから…よく頑張った」
まるで子供をあやすかの様に
優しく、静かにそう囁いた
柚「わぁぁ~ん!!ヒック…ヒック」
暗闇の中
静寂を破る柚姫の泣き声はしばらく続いた
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