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走り出してからは止まらなかった。
少しでも早く伊久君に会いたくて…
ちゃんと伝えたくて…止まらない。
見慣れたマンションのホールも、
乗り慣れたエレベーターも、
愛しい貴方の表札も、全てが嬉しくて。
震えながらインターホンを押せば、
息を切らした僕に驚く伊久君が出てきた。
「…嫌いな奴の為に走んのかよ」
「伊久…君…あの、誤解だよ…」
「…なにがだよ」
「怖くて…咄嗟に嘘ついて…ごめんなさい…伊久君に…酷いこと言って…」
涙目で謝る僕を伊久君は何も言わずに
無理矢理家の中に引きずり込んだ。
「…もう、知らねぇよ…」
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