日常

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ざわざわと騒がしい音がする。 人の声、息遣い、足音、それらが交ざり合い、空気を振動させる。 ゆっくりと前に進む。 目の前にいる相手をにらみつけ、姿勢を整える。 集中力を一気に高めていく。 周りの雑音を耳に入れずに、自分と相手、そして審判だけに神経を向けた。 「始めっ!」 切れの良い声が響く。 同時に相手との距離を一気に積め、素早く腕を振りぬく。 「胴っ!!」 竹刀が音を立て、審判の旗があがる。 周囲は歓声に包まれた。 勝利を告げられ、礼をして、歩きだす。 「はぁ、終わった…」 南義和(ミナミヨシカズ)は防具を外すと、大きく息を吐いた。 今は8月。 剣道の防具を付けていたら、暑くて暑くて仕方ない。
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