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がさがさっ…
ざっざっざっ…
森の静寂を破るように不釣り合いな音がこだまする。
一人の少年が、深い森の中を必死に走っていた。
(こんなはずじゃなかった…
ほんとなら今頃部屋でゆっくり本でも読んでたはず…)
「はぁっ…はぁっ…」
僕は訳あって深い深い森の中を走っていた。
もちろん、マラソンがしたかったわけでも街の喧騒から離れ森林浴で心を癒したかったわけでも、ない。
ならなぜ走ってるかって?
その理由は至極簡単。
森の住民巨大なバッタ…
ロッカーの大群が追いかけてきていたのだ。
「…何で…こう…なるのっ!」
木の根につまづき、
茂みにぶつかりながら僕は叫ぶ。
どこをどう走ったのかさっぱりわからない。
もぅ後ろを見る余裕なんてなかった。
なんでこんなことになってしまったんだろぅ……
後悔と不安と、溢れる涙で、前が…
…?
急に失われる安定感。
そして一瞬にして滑る景色。
足元にあるはずの地面がない。
「あ…ぇ…う、うわぁぁぁー!…」
視界が反転し、浮遊感を感じたとほぼ同時に大きな衝撃が走り、僕は気を失った。
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