一章 壊

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「フゥ……終わりかな?」  辺りには、骸になったヘルハウンドが処狭しと転がっていた。 「…みたいだね。」  周囲を確認しながら、ジークはロゼの言葉に応えた。   「…にしても、斡旋所のヤツ騙しやがったか?  どこが害虫駆除だよ。」  苦々しげなジークの言葉に、ロゼが苦笑を浮かべる。 「だね。…それか、依頼人が嘘をついたのかも。」 「ドッチにしろだ。 アッチのミスなんだから、報酬は上乗せさせてやる!」 「ア、アハハハ…」  ムキになるジークの姿に、ロゼは乾いた笑いで応えた。 (そんなにロキさんに言い包められたのが、悔しいのかな?) 「っ!! ロゼ! かまえて!」 「えっ!!」 「……親玉が登場らしいよ」  ジークは目の前の茂みを凝視している。 「……」  ジークの言葉にロゼもまた、体勢を整え構える。  ただ、ジークと比べると幾分緊張の張りが弛いようにみた。  チラリとジークを盗み見る。    そこには、さっきまでの子供ポッイ表情は無く、代わりに真剣な眼差しの顔があった。  その顔を観ていると、緊張感よりも、今ジークと一緒にいる事の嬉しさの方が勝ってしまう。 (ハァ~、私ってこんなに簡単な性格だったのかな?)
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