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「フゥ……終わりかな?」
辺りには、骸になったヘルハウンドが処狭しと転がっていた。
「…みたいだね。」
周囲を確認しながら、ジークはロゼの言葉に応えた。
「…にしても、斡旋所のヤツ騙しやがったか?
どこが害虫駆除だよ。」
苦々しげなジークの言葉に、ロゼが苦笑を浮かべる。
「だね。…それか、依頼人が嘘をついたのかも。」
「ドッチにしろだ。
アッチのミスなんだから、報酬は上乗せさせてやる!」
「ア、アハハハ…」
ムキになるジークの姿に、ロゼは乾いた笑いで応えた。
(そんなにロキさんに言い包められたのが、悔しいのかな?)
「っ!!
ロゼ! かまえて!」
「えっ!!」
「……親玉が登場らしいよ」
ジークは目の前の茂みを凝視している。
「……」
ジークの言葉にロゼもまた、体勢を整え構える。
ただ、ジークと比べると幾分緊張の張りが弛いようにみた。
チラリとジークを盗み見る。
そこには、さっきまでの子供ポッイ表情は無く、代わりに真剣な眼差しの顔があった。
その顔を観ていると、緊張感よりも、今ジークと一緒にいる事の嬉しさの方が勝ってしまう。
(ハァ~、私ってこんなに簡単な性格だったのかな?)
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